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千葉県税理士会所属

リスクマネージメント

1.リスクマネージメントとは?

リスクマネージメントとは,元々欧米で発達してきた経営管理手法です。企業を取り巻く様々なリスクを分析し,適切な対策を講じることで企業の存続・経営目標の達成を図ろうとするものです。
たとえば,企業のリスクは以下のように分類できます。

経営リスク 法務リスク 不法行為・債務不履行・詐欺・横領・役員賠償・PL・知的財産権侵害・独禁法違反,情報漏洩
労務リスク 労働災害・セクハラ・差別・役員や従業員の不祥事・労働争議・情報や技術の流出
財務リスク 資金調達・資金運用・取引金融機関の破綻・M&A・時価会計・退職給付会計
災害・事故リスク 自然災害リスク 地震・台風・水害・落雷・噴火
政治・経済・社会 リスク 施設の焼失や爆発・交通事故・労災事故・コンピュータウィルス
政治・経済・社会 リスク 政治リスク 法律改正・税制改正・政権交代・政策の変更・国交停止・戦争・内乱
経済リスク 景気変動・金利変動・為替変動・地価変動
社会リスク 市場ニーズの変化・インターネットによる風評被害・不買運動・消費者運動・企業テロ

これらのリスクに対し,リスクの防止・低減といった「事前対策」から,望ましくない事態の発生後の「緊急対策」,そして復旧・回復させる「復旧対策」をすることが,リスクマネージメントといえます。

2.リスクマネージメントのプロセス

下記に示したのはリスクマネージメントのプロセスの一部です。
事前調査→リスクマネージメント方針の表明→リスク分析→リスク評価→目標の設定→対策の選択
最終的なリスク対策は,以下のように分類されます。

リスクコントロール リスク回避
リスクのある状況に巻き込まれないようにする意思決定,またはリスクのある状況から撤退する行動。例えば,火災に対するリスク回避は,火元確認,禁煙措置等。
リスク低減
特定のリスクに関する発生確率,又は発生時の損失の大きさ,あるいはその両者を低減する行為。例えば,火災に対するリスク低減は,スプリンクラー設置,難燃性素材の使用。
リスクファイナンシング リスク移転
特定のリスクに関する損失の負担を他者と分担すること。例えば,火災に対するリスク移転は,火災保険の加入。
リスク保有
特定のリスクに関する損失の負担。例えば,火災に対するリスク保有は,火災保険の免責。

※ここで注意したいのは,リスク分析・リスク評価で見過ごされたリスクは,結果として放置されることとなることです。

3.リスクファイナンシング

ここでは主にリスクファイナンシングについてもう少し詳しく説明していきます。
リスクが顕在化すると損失が生じ,企業から資金が流出します。そのための資金を事前に準備し,予想される経済的損失を補填する資金調達手法がリスクファイナンシングです。
先に述べたように,リスクファイナンシングには,リスク移転とリスク保有があります。

(1)リスク移転 保険- 損害保険・生命保険・共済
ART- Alternative Risk Transferの略。代替的リスク移転 などと訳される。天候デリバティブや地震リスク証券化など保険以外のリスク移転。リスクの取引は保険市場ではなく金融資本市場を通して行うので,引き受けキャパシティが保険市場より遙かに大きい。
(2)リスク保有 経費処理- 小規模な損失や,予期していなかった損失に利用。(見過ごされたリスクによる損失が大きい場合,企業の存続に影響を及ぼします。)
準備金- 貸倒引当金,災害等積立金等
借入等- 損失が発生した際の金融機関からの借入やリース活用による資産の再調達

リスクに対してどのリスク対策をとるのかは,発生確率や発生時の影響等を考え,必要によっては2種類以上の対策を講じることが必要です。例えば,自動車事故に対するリスク対策は,リスク回避は安全運転・定期点検,リスク低減はABSやエアバック,リスク移転は任意保険の加入,リスク保有は免責金額の設定,となります。  例えば,リスクに対して保険は有効な手法ですが,すべて保険で賄おうとすると,保険料負担が多額になってしまいます。コストの最適配分を間違えると,結果的にコストだけ負担して,リスクの対策になっていなかった,という事態になりかねません。リスク対策をどう講じるかは,資金繰りにも関係してくるので,コストの最適配分を十分に考える必要があります。

【事例】
A運送会社では,1,000万円以上の対物賠償損失リスクを「保有」しており,リスクが顕在化した場合の企業に与える影響は甚大となります。(支払保険料:3,000万円)

今後,50万円以下の対物賠償損失を「保有」,50万円以上の部分を無制限に保険会社へ「移転」(対物賠償保険の「無制限」化)すると,企業としてのリスク対応力が高まる上に,保険料は大幅に下がります(支払保険料:1,800万円)

一方,昨年の事故頻度は15%(15台/100台)であり,仮にこの事故頻度のまま推移すれば,自己負担額は,750万円(50万円×15台)となります。

結果,3,000万円-1,800万円-750万円=450万円の保険料ダウンとなります。

4.リスク移転と保険

企業リスクを移転するための有効な手段として,保険があることは先に述べました。とはいっても様々な保険がありますから,どのリスクをどの程度移転させるのかを考えながら,保険を設計しなくてはいけません。
下の表は,リスクに対する保険の一覧です。

企業リスク 人間の一身上のリスク 生命保険 等
収益上のリスク 利益保険,店舗休業保険,家賃保険,補償保険 等
財務上のリスク 火災保険,機械保険,動産総合保険,盗難保険,等
身体上のリスク 積立労働災害,総合保険,傷害保険,所得報償保険,医療保険 等
賠償責任上のリスク 自動車保険,生産物賠償責任保険 等

5.企業経営者のリスク対策 -企業防衛制度-

近年,企業を取り巻く環境が激しく変化し,各種リスクも多様化・大型化しています。
このような状況の中で,企業の経営者・役員の方々に不測の事態が発生した場合,企業に与える「経済的損失」は多大なものとなり,ひいてはその存続さえも脅かすほど重大な問題となりかねません。標準保障額とは,この「経済的損失」を客観的な根拠を基に算出したものです。
定期的に標準保障額を算定し,現在の必要額を把握しておくことが必要です。

標準保障額
I.企業防衛準備資金

<円滑に事業を継承するために準備する資金>
(1)借入金返済,運転資金 (2)納税準備資金
II.役員退職慰労金準備資金

<遺族のために準備する資金>
(1)役員退職慰労金 (報酬月額×在任年数×功績倍率
(2)功労加算金 (役員退職慰労金×0~30%)
(3)弔慰金 (報酬月額×6ヶ月又は36ヶ月)

ニーズ別保険一覧

生保代理店:株式会社粟飯原会計事務所

死亡リスク 死亡退職金・弔慰金

事業継承

当面の運転資金

債務返済資金
無配当定期保険
●保険期間の短い掛け捨ての保険です。
●配当金が無い分,保険料は割安です。
●保険料は全額損金算入できます(※1)
定期保険
●保険料は一定です。
●中途解約時には期間の経過に応じた解約返戻金(※2)があります。
●保険料は一定要件のもと損金算入できます。(※1)
逓減定期保険
●責任の重い時期に保障を大きく設定し,その後は保障が減少します。
逓増定期保険
●一定の保険料で一定期間経過後,保障額が増加します。
死亡リスク 生存退職金

経営資金
定期保険
●保険料は一定です。
●中途解約時には期間の経過に応じた解約返戻金(※2)があります。
●保険料は一定要件のもと損金算入できます。(※1)
逓増定期保険
●一定の保険料で一定期間経過後,保障額が増加します。
死亡リスク 従業員の保障・福利厚生

入院費用
定期保険
●保険料は一定です。
●中途解約時には期間の経過に応じた解約返戻金(※2)があります。
●保険料は一定要件のもと損金算入できます。(※1)
医療保険
●入院,手術給付金など,医療保障に焦点をおいた幅広い保障です。

※1:法人税基本通達9-3-5,9-3-6の2,昭和62年6月16日直法2-2(例規),平成8年7月4日課法2-3(例規),国税庁見解による(平成16年2月現在)
※2:解約返戻金は,ほとんどの場合,保険料払込累計額を下回ります。また契約時及び保険期間満了時には0になります。